ひとり言

知的障碍児(者)についてや彼らを取り巻く環境、またその法律や教育などの他、ママの感じたことなどを思いつくままに綴ったページです。
このエッセイを読んだご感想やご意見をお待ちしています。
   INSについて
 先日、INSに関してのご質問のメールを頂きました。やはり知的障碍のお子様をお持ちのお母様からでしたが、現在4歳になるお嬢様(障碍のある方の妹さん)の幼稚園や小学校をどこにしようかと悩んでいるときに、このHPを見て、アヤちゃんがINSに通っていることを知り、どのようにして入学させたのか、またINSについてもう少し詳しく教えて欲しい、というご要望でした。また、そのメールの最後に「他にもきっと私のようにINSについてもっと知りたいと思っている方がいらっしゃると思います。」とお書き頂いていたので、そのメールでのご質問等をご紹介しようと思います。
 
Q : 「子どもをINSに入学させる場合、親は英語が話せないといけないのですか?」
A : 「基本的に日本のINSは日本に住む英語あるいはそれ以外の外国語を母国語とする子どもたちのための学校です。最近は各企業のアジア支社の日本から中国圏への移転が増えたため在日外国人が減少し、日本人の子どもも受け入れているINSが増えていますが、それでも先生や親は日本語ができない人がほとんどです。そのため最低日常会話くらいはできないと、親同士の会話や特に先生との懇談会では困ることになりますね。」
 
Q : 「INSに入学させるためには、どのような手続きが必要ですか?」
A : 「まずは、ご自分が入学させたいと思っているINSに電話かメールをして、今現在生徒の募集をしているか問い合わせて下さい。日本人は受け入れていなかったり、また受け入れていても定員枠が少なく、既に定員がいっぱいで募集していない場合もありますので、現在日本人生徒の募集をしているか、また募集をしていない場合は、Interview(面接)を受ければWaiting Listに載せてくださるのか(つまりは入学させられる可能性があるのか)を聞いてください。生徒募集をしている場合もWaiting Listに載せて頂ける場合もまずInterviewを受けることになると思います。」
 
Q : 「Interviewではどのようなことを聞かれるのですか?」
A : 「学校によって様々なので、必ずしも“これが聞かれます”とは言えませんが、外国人学校なのになぜ日本人のあなたが入学希望するのかという理由は質問されると思って間違いないでしょう。そして、子どもさんにはその子の年齢に応じた英会話力を試す質問をされるでしょう。例えばアヤちゃんはKindergarten入学のときに、“What color do you like?”や“What play do you do usually?”などと聞かれました。この質問はKindergarten入学かElementary入学か、また途中編入になる場合はその編入学年に応じて変わるでしょうし、その入学先の学年に応じた程度の質問がされるはずです。そしてInterviewを受ける子どもが、その質問の内容を把握し且つ適切な返答ができるか否かによって、英会話力とそれによる入学可否を判断されます。」
 
Q : 「INSの学費は高いと聞きましたが年間の費用はどれくらい掛かりますか?」
A : 「各INSによって学費はまちまちなので一概にはこれだけとは言えません。それは各INSの支持母体によって援助があるかどうかによっても変わり、またその援助金額も様々で、何より学校の規模や生徒数によっても違うからです。参考までにアヤちゃんの学校の費用をご紹介します。
  • Registration fee (登録料)…70,000円
  • Admission fee for Kindergarten (幼稚園入学金)…50,000円
  • Admission fee for School (小学校入学金)…100,000円
  • School fee for Kindergarten per year (幼稚園年間授業料)…850,000円
  • School fee for Primary G1-G4 per year (小学校G1-G4の年間授業料)…1,200,000円
  • School fee for Secondary G5-G6 per year (小学校G5-G6の年間授業料)…1,350,000円
  • Building and development fee per year (年間学校設備費)…30,000円
  • Insurance per year (保険年額)…25,000円
  • Bus service per child and year (1人分の年間バス代)…200,000円
  • G3-G6 annual school trip/camp (修学旅行・キャンプ費)…50,000円
これにランチを注文した場合はその実費、また別にオプションでスイミングクラスや英語のESLクラス、フランス語・ドイツ語などの外国語レッスンクラス等もあるので、それを受講した場合はその月謝が掛かってきます。」
 
更新日時:
2006/04/19
   障碍者自立支援法ってナニ?
平成17年(2005年)10月31日、国会で可決・採択された障碍者の法案で、平成18年(2006年)4月1日から施行されます。
 法案の内容は、
  • 今まで施設での保護中心であった障碍者支援を地域生活や就労を中心に転換する
  • 今まで各障碍種別に応じて提供されていた福祉サービスを三障碍(身体障碍・知的障碍・精神障碍)一元化とし、使ったサービスの費用は1割負担とする
  • 障碍者医療費を1割負担とする
  • 3年後に見直し期間を設ける
(※詳しくはInformationの厚生労働省HP-「障碍者自立支援法」をクリックしてご参照ください。)
 
 簡単に言えば、この法律は、障碍者にも働く場所をもっと与えましょう。障碍別で今まで使用できなかった施設も、使いたい所はどこでも選べるようにしましょう。しかし、その使ったサービスも医療費も1割負担としますよ。また、就労や地域で生活できるように支援するのですから、新たに施設は作りませんよ。という法律です。
 これには、賛否両論が渦巻いています。
 私の周りには反対の声がとても多いです。というより賛成の声をあまり聞きません。
 私自身は、マイちゃんの今後に照らし合わせると負担ばかりが増えているようにも思えますが、国の財政が困窮しているのでやむを得ないことかも知れません。
 就労といっても、知的障碍者にはやはり出来ることが限られていますので、大変難しい問題です。
 また、心配なのは簡単に福祉サービスの三障碍一元化といっても、ハード面やソフト面をどうするのか、といったことが具体的に明記されていないことです。
 例えばこの法律によれば、今まで知的障碍者の利用していた施設も他の障碍者の方が利用できるのですが、知的障碍者は基本的に身体的には不自由がないとして施設が建てられています。もちろん重複障碍の方もいらっしゃるので、エレベーターは一応ついていますが、大抵1機です。そしてあっても建物の端や大変大回りをしないとならない等の欠点があります。けれど、身体障碍者の施設では通常2機〜3機はついていてしかもメイン箇所に設置されています。知的障碍者の施設を身体障碍者が使用する際のこのエレベーター不足や使用しにくいというハード面はどうするのか? あるいは、それに関わる職員は、自分が勤める施設の各障碍の専門知識は勉強していても、その他の障碍には詳しくない人がほとんどです。そのような職員等のソフト面はどうするのか?
まったく不安な限りです。
 
 ただ、いずれにしても施行される以上、私たち障碍者とその家族はこの法の下で生活しないとなりません。ですから政府は、当の障碍者の声をよく聞いて、3年後の見直しの際には、よりよい法律にしていって欲しいと願います。
更新日時:
2006/03/20
   近年の知的障碍者数増加をご存知ですか?
 近年の少子化傾向により、各地の学校は子供不足によるクラスの減少や学校の統廃合など深刻な問題を抱えています。
 ところが、知的障碍児の出現率は2〜3%と言われ、非常に高い割合を示しています。その数は一般の子供の出生率とは逆に年々増加傾向にあり、平成12年度の国勢調査による集計では、日本における知的障碍者数は41万人で、現在では45.9万人と言われています。
 (※詳しくはInformationの厚労省HP-「平成12年版厚生白書-第5章第2節障碍保健福祉施策の新たな展開」をクリックしてご参照ください)
国民1000人あたりに4人が知的障碍者ということになります。
 そして前述した高機能障碍児に至っては通常学級中に6%の割合で在籍すると言われています。つまり、3〜40人のクラスに2人はいるという計算になります。
 さらに高機能障碍であることに本人も周囲も気付いていない隠れ障碍児を含むと、その数は1クラスあたり10%を越えるのではないかとも言われています。
 もうすぐ、知的障碍児・者と関わったことが無いという人がいなくなるのではないかと考えられるほどの数字ですね。
 大昔、知的障碍児は、ダウン症などの出生後すぐに分かるものは産後すぐ死産として扱われて殺されたり、また自閉症のように成長過程で判明するものは、その時点で死亡したことにされ、屋根裏や物置小屋に閉じ込められて世間から隔離されたりしたことがありました。
 「夜中になるとあそこの屋敷の開かずの間から声がするのは亡霊か?」などと江戸時代の瓦版にも記載されていた記録がありますが、これは幽閉されてしまった知的障碍者の声ではなかったかと推測されています。
 しかし、現在では障碍を持って生まれても死産扱いで殺されたり、生きているにも拘らず死亡届けを出すというようなことはありませんし、また高機能障碍等の過去には認知されていなかった障碍も認められるようになったこともその増加の要因の一つではありますが、現実に知的障碍児・者は増えていて、特に小中学校におけるその対応は急務の課題となっています。
 知的障碍養護学校においても、その障碍者増加のための教室不足が深刻な問題となり、昨年までは倉庫や資材置き場であったり目的別教室であった部屋を通常クラスとして代用しなければならない状態です。
 一般の学校が、生徒減少による空き教室の有効活用に頭を悩ませているのとは対称的な現象が養護学校では起こっているのです。
更新日時:
2006/03/20
   自閉症って?
 知的障碍児(者)の中でよく耳にするのが自閉症です。
 小説やマンガ、テレビドラマなどで題材にされたことから、ご存知の方も多いかも知れませんね。
 自閉症とは、先天性の脳の機能障害からくる広汎性発達障碍(PDD)の一種で、主に社会性・コミュニケーション能力・想像力の発達などが限定され遅滞する障碍です。
 症状は様々で、健常者とほとんど変わらない生活ができる者から介助を必要とする者まで、その発達障碍の幅も大変大きいものがあります。
 
 そのため自閉症には、大きく「(低機能)自閉症」「高機能自閉症」に分けられ、前者は「カナー症候群」、後者は「アスペルガー症候群」とも呼ばれます。
 
 (低機能)自閉症は、言語障碍や知的障碍があり、多動や奇声、自傷・他傷行為を伴うこともあります。
 また、自分にとって特別なものにこだわりを持ったり、自転車の車輪や床屋の回転灯などの回転するものへ強い興味を示したり、またある特定の音に強い不快感を示したり、物を規則正しく並べるといった行動をとるなどの特徴があります。
 さらに、数字や風景などに対する高い記憶力があったり、近くの人の手をとって対象物まで連れて行くという「クレーン現象」という行動をとるといった特徴もあります。
 2005年にドラマ化され話題になった「光とともに…」の光くんは、この(低機能)自閉症にあたります。
 また、脳の発達障碍(器質疾患)であることから、てんかん睡眠障碍といった器質的な障碍を発症する場合があります。
 
 それに対して高機能自閉症は、言語障碍や知的障碍がなく、一見すると健常者と何ら変わらないように見えるのに、会話の雰囲気などを理解できなかったり他者の言動を許容することができなかったりする社会性の障碍であるため、周りから誤解されやすいと言えます。
 (※詳しくはInformationの厚生労働省HP-「発達障碍者支援施策について」をご参照ください)
 あのアインシュタイン博士やビル・ゲイツなどもこの高機能障碍(アスペルガー症候群)であることは有名ですね。
 余談ですが、高機能自閉症を描いた映画「レインマン」でダスティン・ホフマンと共演したトム・クルーズがLD(学習障碍)であるというのは何とも皮肉な感じがします。
 
 ところで、高機能というのはIQの高さを示しますが、これは(低機能)自閉症が概ねIQ70以下の者を指すのに対し高いとするもので、(低機能)障碍児・者のIQとさほど変わらない者から健常者をはるかに凌ぐ高いIQを持つ者まで様々です。
 そのように高いIQと社会性の障碍を併せ持つ人がいることから、学者の中には科学者や数学者の大半がこのアスペルガー症候群であるとする人もいます。
 
 また、最近では、きちんと席について教師の話を聞けない子供たちが、授業中に教室中を走り回ったり遊んだりして、いわゆる学級崩壊を引き起こすと言われた要因に、その子供たちの中にLD(学習障碍)ADHD(注意欠陥多動性障碍)の子供がいることが問題視され、現在文部科学省でも小・中学校における急務の課題として検討されていますが、
 (※詳しくはInformationの文部科学省HP-「小・中学校におけるLD、ADHD、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン」をご参照ください)
このLDやADHDも高機能障碍の一種と言われています。
 
 上記はあくまでも基本的な症例で、いずれの自閉症の場合もその症状が複雑に合わさり各個人によって様々なため、一概に言うことはできません。
更新日時:
2006/03/20
   知的障碍者の進路
 高校までは養護学校という居場所が与えられている知的障碍児たちですが、高校を卒業した後はどうしていると思われますか?
 現在の知的障碍児たちの進路は、主に
  • 市の募集する障碍者枠での就職
  • 一般企業の障碍者枠での就職
  • 小規模作業所
  • 知的障碍更生施設
  • 知的障碍授産施設
となっています。
 
 知的障碍更生施設というのは、18歳以上の知的障碍者が入所、あるいは通所し、保護を受けるとともに、更生に必要な指導訓練を行います。
 知的障碍授産施設というのは、18歳以上の知的障碍者で雇用されることが困難な者が入所、あるいは通所し、自活に必要な訓練を受けるとともに、職業に就き、自活します。
 これらの施設は、常に定員が満杯状態で、希望してもすぐに入所するのは難しい状態です。
 
 また、国・自治体は、「障碍者雇用促進法」 (※詳しくはInformationの厚労省HP-「障碍者雇用促進法」「改正障碍者雇用促進法」をご参照ください。) により障碍者を定率2.1%で雇用することが義務付けられていますが、自治体の障碍者枠の職員募集はその大半が身体障碍者向けであり、知的障碍者については毎年あるわけではありません。
 またあっても若干名で、しかもその応募条件は大抵、職場まで一人で通えることや他の職員との協調が図れること、また決められた職務を遂行する能力があること、ということが述べられています。
 ですから、知的障碍児の中でもごく軽度の者しか応募ができず、応募できたところでそれは全市から及ぶわけですから若干名の採用枠に入るなんて奇跡に近い状況です。
 もちろんマイちゃんのように重度の知的障碍者は、応募すら許されません。
 
 では、一般の企業はどうなっているのでしょうか?
 先に述べた「障碍者雇用促進法」により、民間企業も従業員数が56人を越える企業には、定率1.8%の身体障碍者・知的障碍者の定率雇用を義務付けています。そして、従業員300人以上の企業には、その定率が遵守できなかった場合、納付金(いわゆる罰金制度)を納めることが決められています。
 つまり、例えば301人の従業員の企業なら5人以上の障碍者を雇用しなければなりません。しかし、実際には障碍者を雇わず、定率による不足障碍者数に応じた納付金を納める企業が5割を超えているのが実状です。
 また、雇用されていても、ここでもその大半は身体障碍者で知的障碍者に至ってはごく僅かです。
 罰金にあたる納付額は、定率による不足障碍者1人につき月額5万円です。つまり年間にして不足1人あたり60万円となります。先の例の301人の企業では、60万円×5人=300万円を年間に納めれば障碍者を雇わなくてもいいということになるのです。300人以上従業員がいる企業にとって、年間300万円という額は、新入社員1人分の給与にしかならず、大した額ではないでしょう。だから「障碍者雇用促進法」があっても、一向に障碍者の就職率が伸びないのです。
 もちろん「障碍者雇用促進法」に関係なく、率先して障碍者を雇用している企業もないわけではありません。マクドナルドユニクロは毎年障碍者を定率以上に採用しています。しかし、そのような企業があまりにも少なすぎるのが現実です。
 
 そこで、市や民間企業にも就職の場を与えられない知的障碍者たちの進路を確保するため、その知的障碍者の親たちが集まって自分たちで立ち上げたのが小規模作業所です。親たちは、なけなしのお金を持ち寄り我が子や同じ知的障碍を持つ子どもたちのためにと、卒業後の居場所を作ったのです。
 しかし、この小規模作業所が今潰される危機に瀕しています。2005年10月30日に採択された「障碍者自立支援法」により、NPOを除く小規模作業所については、従来給付されていた助成金が廃止となるため、NPOとして認められない小規模作業所は閉鎖に追い込まれようとしているのです。
 知的障碍者たちは、小規模作業所で箸の袋詰めや広告・パンフレットの袋詰め、紙すきによるはがきやコースター作りなど、軽作業の仕事をして収入を得ます。この軽作業を発注してくれる会社も小規模作業所の職員が営業に回り、やっとのことで得ている仕事で、金額的には知的障碍者たちに充分な給与として支給できるほどのものではありません。小規模作業所として借りている場所の家賃や職員の給与を差し引くと知的障碍者の給与は、どこの作業所でも大抵、月額2〜3000円というところです。しかも、それでも赤字経営のところが多く、作業所を維持していくためには、親から数万円の会費を取っているところがほとんどなのです。
 労働とは、働いた仕事に対しての給与を受けることを言います。けれど、知的障碍者たちは、お金を払って働かせて貰っているのです。おかしな話です。納得できません。でも、納得できなくても、お金を払ってでも作業所に行かせて貰わないと、知的障碍者たちは学校を卒業した後、行き場所もなく、家で過ごすしかなくなるのです。
 それなのに、この「障碍者自立支援法」は、その作業所さえも潰そうとしています。助成金が給付されなくなったら親の負担額は一体いくらになるのでしょうか? 行かせたくてもその負担額を払いきれなくて、作業所に行けない知的障碍者が増えるだけです。
 では、小規模作業所をなくした後、行政はどうするのかと言えば、この法律が障碍者の社会参加、就職斡旋を目的としているので、更生施設や授産施設あるいは入所施設といった施設を今後作る予定はないと言います。
 前述の市職員の採用や民間企業の採用状況でも分かるように、「障碍者雇用促進法」が制定されていても、現実には知的障碍者に働く場所が与えられていないのに、親たちの苦肉の策である小規模作業所まで取り上げ、挙句に施設は作らないというのでは、『知的障碍者は死ぬまで家の中でじっとしていろ。』と言っているようにしか聞こえません。
 「障碍者自立支援法」といっても名ばかりで、知的障碍者にとってその実は逆に自立を奪うような法律なのです。
 行政は、今一度、本当に障碍者の立場に立って法律を見直して頂きたいと切に願います。
 
更新日時:
2006/03/20

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Last updated: 2006/12/20

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