ひとり言

知的障碍児(者)についてや彼らを取り巻く環境、またその法律や教育などの他、ママの感じたことなどを思いつくままに綴ったページです。
このエッセイを読んだご感想やご意見をお待ちしています。
   特別支援教育ってナニ?
 「特別支援教育」とは、障碍のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである、と定義されています。
 
 (※詳しくはInformationの文部科学省HP-「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」をご覧ください。)
 
 これまでの「特殊教育」がその障碍の種類や程度に応じて盲・聾・養護学校や特殊学級といった特別な場で指導を行うことにより手厚くきめ細かい教育を行うことに重点を置いていたのに対し、障碍児の自立や社会参加に向けての取組に重点を置き、障碍の発現時から将来に渡っての教育支援を目的としています。
 
 簡単に言うと、今までは特殊学校・特殊学級という場所で閉鎖的に行われていた障碍児教育を、障碍児の社会参加を目指す上で、より社会的な環境で各障碍児にあった適切な指導や支援をしていくことを目的としているのです。
 これには、今までの障碍児に加え、通常学級に在籍するLD(学習障碍)・ADHD(注意欠陥多動性障碍)・高機能自閉症児等に対しての適切な指導及び支援もその対象としています。
 
 また、文部科学省の「特別支援教育を推進するための制度の在り方(答申)」では、『我が国が目指すべき社会は、障碍の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会である。その実現のため、障碍者基本法や障碍者基本計画に基づき、ノーマライゼーションの理念に基づく障碍者の社会への参加・参画に向けた総合的な施策が政府全体で推進されており、その中で、学校教育は、障碍者の自立と社会参加を見通した取組を含め、重要な役割を果たすことが求められている。その意味で、特別支援教育の理念や基本的考え方が、学校教育関係者をはじめとして国民全体に共有されることを目指すべきである。』と明記されています。
 
 まだ始まったばかりの施策で、既に確固とした形が出来上がっているわけではなく、これから作り上げていく過程なので、この教育の方法そのものについて何かいう段階ではありません。しかし、その目的については障碍児・者やその家族、関係者にとっては心強いものです。
 ここに述べられたような障碍児・者の人格や個性が尊重される、真の意味での平等な社会が一日も早く来ることを願わずにはいられません。
 
更新日時:
2006/03/20
   発達障碍者支援法ってナニ?
 低年齢期に発現した自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障碍、注意欠陥多動性症候群やその他これに類する脳機能の障碍を「発達障碍」といいます。
 そして、この発達障碍の心理機能の適正な発達および円滑な社会生活の促進のために発達障碍の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが重要であるとして、児童の発達障碍の早期発見、発達障碍児の学校教育における適切な教育的支援および発達障碍者の自立および社会参加のための支援に必要な施策などが盛り込まれており、平成17年4月1日から施行されました。
 
簡単に言えば、低年齢期に発達障碍が現れた発達障碍児に対して、教育面や自立および社会参加のために必要な支援を早期から行うことを定義づけた法律です。
 
 (※詳しくはInformationの厚生労働省HP-「発達障碍者支援施策について」および文部科学省HP-「発達障碍者支援法」をご覧ください。)
更新日時:
2006/03/20
   マイちゃんはどんな障碍なの?
 さて、我が家の天使のマイちゃんの場合はと言うと、知的発達障碍があり言葉が話せません。この条件では(低機能)自閉症のようでもありますが、判定テストによると(低機能)自閉症によくあるこだわりや回転する物への興味や特定の音に対する不快感、物を規則正しく並べるなどの特徴がないことや、人との関わりを強く求めることや発語は無いけれども指示に従えることから言葉の理解度が高いということなど低機能と高機能が入り混じっている状態です。
 なので、彼女の場合は、広汎性発達障碍という診断で自閉症とは認定されていません。
 しかし、ある一面では(低機能)自閉症のような特性もあり、ある面では高機能自閉症のような特性もあり、またある面ではそのいずれにも当てはまらない特性もあるのです。
 つまり、これまでに何度も申し上げたように、各個人によって症状は様々で、いくつもの障碍が複雑に合わさっているため一様に診断を下すことは困難なのです。
 一様に診断を下すことが困難である以上、その対応も一様ではありません。
 でもそれって、誰しもが持つ性格であったり特性であるのと同じではないかと思うのです。
 障碍を見極めてその子にあった適切な対応は必要ですが、それもまた個性と同じだと思っています。
 我が家の天使は、他の子より少〜し個性が強いだけ…。
 私は、マイちゃんの障碍のことをそんな風に思っています。
更新日時:
2006/03/15
   知的障碍者に対する誤解と対応
 知的障碍児(者)を見るとき、皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか?
 何か訳の分からないことをぶつぶつ言いながら歩いていたり、時折奇声を発したり、地面に寝そべってバタバタしていたりといった状態を目の当たりにしたら、何なんだろうと驚いたり、珍しいものを見るように奇異の眼を向けたり、何かされては困ると慌ててその場から離れたりしていませんか?
 もちろん、きちんと知的障碍というものをご理解頂いている方は、その行為が障碍によるもので、しばらくすれば(時間の掛かる場合もありますが)治まるということをご存知だと思います。
 でも知らなければ、余計な不安や警戒心を持ってしまいますよね?
 上記にあげた障碍による行動例はある一部ですが、いずれもパニックを起こすことによって発してしまう行動で、簡単に言えば、皆さんの感情が高まって涙が出たり、怒りが爆発して怒鳴ってしまうのと同じです。
 ただ、知的障碍の子供たちは、自分の感情を上手くコントロールしたり表現することが苦手なので、心に湧きあがった気持ちをどう処理していいのか自分でも分からずに行動してしまうのです。そして、その子その子による様々な行動パターンを取ることになるのです。
 ですから、同じ要因でパニックを起こしたとしても、その行動は各人によって違います。その場にいたたまれずに突然走り出す子もいれば、逆にその場で石のように立ちすくんでどんなに押しても引いても動かなくなる子もいます。自分の中に湧き上がった感情を奇声によって発散しようとする子もいれば、自分を傷つけてしまう自傷行為に及ぶ子もいます。
 また、一人の子供が同じ要因でパニックを起こしても、時と場所によってその行動が異なる場合もあります。
 でも皆さんだって、自分を傷つけるようなことを同じように他人から言われても、あまり気にならない時もあれば、とても傷つく時もあるでしょう? または、仕事で同様のミスをした時でも、とても落ち込む日もあれば、明日は頑張ろうと前向きになれる日もあるはずです。
 それと同じなのです。彼らだって毎回感じ方が同じというわけではないのです。だからこそいくつもの問題行動を抱える子供も出てきてしまうのです。
 
 では、なぜパニックは起こるのでしょうか?
 感情のコントロールや表現が上手くないというと情緒障碍と思われるかも知れませんが、違います。これは、脳の機能不全による発達障碍が原因なのです。
 つまり、何かしら感じたり考えたりした時に起こす行動に対する指令が脳から発せられても、機能障碍によって上手く伝わらなかったり、指令の処理がちゃんと行われないために起こるのです。
 具体的な例としては、知的障碍の中でも(低機能)自閉症の子供は、いつもと違うことに順応しにくい傾向があるということがあげられると思います。
 例えば、土曜でも日曜でも祭日でもないのに、創立記念日のために学校が休校であったりすると、どうして平日のいつもは出掛ける時間に家を出て学校へ行ってはいけないのかが理解できません。いつもと違ったことを行うことがすぐには対処できないために、学校へ行かなければならない時間なのにお母さんが行かせてくれない、と思って感情が高まってゆき、パニックを起こすのです。
 あるいは、お買い物に行くときはいつも右の道を通って行くのに、「今日は向こうのスーパーが特売日だから左の道で行きましょう。」とお母さんが言っても、いつもは右の道から行くのになぜ今日は右から行けないのか分からずに、パニックを起こすのです。
 上記の行動パターンでは、障碍者の脳の中に「平日→午前8時に家を出て学校に行く」、「スーパーにお買い物に行く→右の道で行く」という規則ごとやこだわりがあるからだと思われます。そして、それを純粋なまでに遂行しようとしているのに出来ないストレスがパニックとなって現われるのです。これは自閉症児によく見られる特色なのです。
 
 では、どのように対処したらよいのでしょうか?
 上記の場合では、早くから行動の変化を求める指示を与えることが有効的です。学校が休みと分かったら、毎日「○日はお休みです。学校に行きません。」と繰り返し情報を与え、脳がいつもと違う行動の処理を行うまで伝え続けます。自閉症児の場合は、聴覚よりも視覚に訴える方が情報を処理しやすい場合が多いので、変更事項を紙に書いて毎日見せながら読んで指示するのもより効果的でしょう。
 また、その際の指示の仕方は、“短く・ゆっくり・はっきりと”です。たくさんの言葉で機関銃のように話しても、障碍児には理解できないどころか逆に騒音と認識されてしまう場合があるからです。
 どのくらいの期間が掛かるのかは、その子によっても指示の内容によっても様々です。1〜2日で理解できる子もいれば、1週間以上続けなければ理解できない子もいます。また、前回の指示には短期間で対処できても、今回の指示にはとても時間が掛かるという場合もあるでしょう。それは、本人の意識の向いている度合いによっても違うからです。
 例えば前述の休校の例で言えば、学校が何より好きな子にとっては行くことがこの上ない快感であるわけで、それを行けないというマイナスの事実を理解するには、脳が処理することを拒否するのかも知れません。
 けれども学校より電車が好きな子で、休みの日には電車に乗りに行くことになっている子の場合は、学校が休校という情報を与えると、「学校が休み→電車に乗れる」という最も快感を得られる情報が伝えられることになるので、それを脳が処理するのは容易なことなのです。
 
 以上は、ほんの一例に過ぎません。重要なのは、その子の障碍を見極め、それに応じた適切な対応をすることなのです。
 知的障碍児・者は全く訳の分からない何を言っても無駄な人ではなく、訳が分かるまでに時間が掛かる人であり、訳が分かるようにするためにはその人の障碍に応じた適切な対応が必要な人と言えるのです。
 そういう意味では、知的障碍児・者の抱える問題は、本人の問題というよりも周囲の理解と対応によって影響を受ける問題と言えるのです。
更新日時:
2006/03/15
   ダウン症って?
 前述した原因の解明されていない知的障碍や自閉症に対して、科学的・医学的に解明されている障碍の一つにダウン症があります。
 これは、常染色体異常が原因で起こるもので、21番染色体が3本あることから21番トリソミーと呼ばれます。
 ご存知のように、ヒトは46本の染色体を持っています。22対の常染色体と2本の性決定染色体です。
 そしてその常染色体の内、最も小さい21番染色体が3本あることに起因している染色体異常がダウン症なのです。
 しかし、21番染色体が最も小さいことからそれに乗っている遺伝子情報も少ないため、比較的他の染色体異常よりも軽度の先天性障碍となっています。
 2004年にテレビドラマ化された松田聖子の「たったひとつのたからもの」は、このダウン症の息子と過ごした6年2ヶ月を描いたドキュメンタリードラマでしたね。
 ダウン症も自閉症と同様、個人によってその障碍の症状は様々で、ほとんど障碍というものが無いような人から知的・身体的障碍を多く抱える人まで千差万別です。
 それはまた、ダウン症独特の容姿にも言えることです。ダウン症は似通った容姿を特徴としますが、ほとんど目立たない人から顕著な人まで色々です。
 また、知的障碍を伴う場合や心疾患や甲状腺疾患、消化器奇形や眼疾患などの身体的疾患を伴う場合もありますが、それもまた個人差があり、一様ではありません。
更新日時:
2006/03/15

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Last updated: 2006/12/20

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